【ロシアIT】ロシアのIT教育のレベルが高い件!

皆さん、こんにちは。テクノソリューションです。

昨今、日本でもAI(人工知能)やIoT、ブロックチェーンなど、IT技術が日常生活をさらに便利にしてくれる期待が高まっています。一方で、地球規模でのグローバルな競争がより一層厳しくなるなか、世界で活躍できる人材を育成するべく、2020年度から小学校でもプログラミング教育が始まりました。 さらに、科学技術の知識に加え、創造性を養うことを目的とした、STEAM教育(STEAM: Science, Technology, Engineering, Art, Mathmatics の頭文字を取った言葉)への注目も高まっています。

しかしながら、コンピュータやネットワークなどの教育環境が整っていない、知識や経験が豊富な教育者が確保できていない、教材に関しても不十分な点があるなど、課題が山積みです。

では、すでにプログラミング学習が必修となっている世界の国々では、どのような教育を行っているのでしょうか。ここでは、IT大国の1つ、ロシアの例を見ていきたいと思います。

ロシアのここがすごい!

国際大学対抗プログラミングコンテストICPC:International Collegiate Programming Contest)では、2012年以降、なんとロシアの大学が「8年連続世界第1位」を達成しているのです。ちなみに、2019年大会では、東京大学は第3位でした。1

また、ロシアではエンジニアの輩出数も世界第1位となっており、まさに理数教育の大国となっています。2

icpc2017
2017年のICPCの優勝発表の様子
(引用:https://habr.com/ru/post/353792/

いまでも「近くて遠い国」のロシアですが、IT技術という分野でも、ロシアは非常に高いレベルを保持しているのです。 その秘訣を、お伝えしたいと思います。

ロシアの教育制度

まず、ロシアの教育制度について簡単に説明します。 ロシアでは、義務教育は11年間です。1~4年目が初等教育(小学校)、5~9年目が基礎教育(中学校)、10~11年目が中等教育(高校)と分類されていますが、基本的には11年間ずっと同じ学校 (Школа) に通い続けます。

また、学校の代わりに、理数・芸術・語学教育などに力を入れている「リツェイ (лицей)」 と呼ばれる専門教育機関も存在します。外部から専門家を招いて、子供達に専門的な授業を受けてもらうことにも熱心です。

義務教育後は大学に入るのが一般的です。期間は4年間であることが多いです。その後、大学院へ進学したり、就職したりと人によって進路が変わってきます。

以上のことを踏まえ、ロシアのIT教育事情について解説していきます。

IT教育環境

ロシアで「情報科学 (Информатика)」というコンピュータを学ぶ科目が必修となったのは2009年です。 基本的には学校の1~4学年の間は、選択クラスとして設けられており、 6~11学年で義務教育となっています。第5学年から学習を開始する学校もあるそうです。 このように、小学生の低学年からIT教育を受ける環境が整っています。

ロシアの教育の特徴の1つは、課外活動(教育)の場が豊富であることです。興味を持った分野について、放課後や長期休暇に学校や大学で勉強することができます。 もちろん、情報科学も例外ではなく、多くの子供が、ITサマースクールなどに参加しています。

もし課外活動の枠を超えて情報科学に特化した勉強をしたければ、リツェイという選択肢もあります。理数科目についての英才教育を受けることが可能です。

大学以降は、より実践的な環境が用意されています。 独自のインキュベーション・アクセラレーション機関が設けられていることが多く、研究結果をすぐに事業化することができたり、大学からの支援を受け、起業をしたりできます。

学習内容

学校の情報科学では、主に

  • Officeソフトの扱い方
  • プログラミング
  • コンピューターの仕組み
  • インターネットと通信の仕組み
  • データベース(RSQL)の仕組み
  • アルゴリズムとデータ構造
  • 数値計算
  • 暗号化技術
  • CG(2D、3D)

などについて学習します。

ロシアのIT教育における最も大きな特徴は「実践的学習」です。 とくにプログラミングやアルゴリズムといった分野で顕著にあらわれています。

低学年時は、コンピュータを使わない「アンプラグド教材」を活用して、図形や数、文字などの集合や分類、順序などを論理的に学ぶ授業から始めます。そして、ロシア語プログラミング言語「クミール (КуМир)」や米国MITが開発したScratchを利用して、プログラミングに慣れていきます。

高学年になると、主にPascalを用いてアルゴリズムなどの勉強をしていきます。 単に教科書の内容に従うのではなく、まず先生がアルゴリズムの原理や数式の説明し、それに従って自分でフローチャートを作り、プログラムを組むといった学習方法が主流です。

この実践的な学習方法が、ロシアに優秀なエンジニアが多い理由の1つなのかもしれませんね。

まとめ

小学校低学年のうちからコンピューターに触れる機会があり、論理的な思考を早い段階で学びつつ実践的な教育が用意されていることが、ロシアにおけるIT教育の大きな特徴です。

現在、テクノソリューションでは、この実践的なロシア式IT学習メソッドを取り入れたIT教育プログラムの開発を、日露共同プロジェクトとして協力しながら進めています。 このメソッドを取り入れることによって、AIやセキュリティなどの先端技術についても、理論や原理を理解したうえで、日本社会に応用できる「先端IT人材」の育成を目指しています。

テクノソリューションの新しい挑戦に、応援よろしくお願いいたします!


参考サイト

1. 世界大会 | ICPC 国際大学対抗プログラミングコンテスト
2. Which country has the most engineering graduates? | World Economic Forum