【ロシアIT】テクノソリューションがロシアITビジネスに取り組む理由

皆さん、こんにちは。テクノソリューションです。

当社取締役の坂口が執筆したエッセイ「日露ITビジネスに懸ける想い」が北海道大学モスクワ国立大学共同オフィスの公式サイトにて、日本語とロシア語の2ヶ国語で掲載されました。

このブログでもロシアITに関する記事を複数掲載していきましたが、「なぜロシアITなんだ?」と疑問を抱いた人も多いのではないでしょうか?

今回のブログでは、そういった疑問に答えるべく、なぜ当社「日露ITビジネス」に取り組むのか紹介していきたいと思います。

1. 日露ITビジネスのきっかけ

当社が、ロシアITビジネスへの取り組みを始めたきっかけは、坂口が、学生時代のロシア留学から25年経った2018および2019年に、再度ロシアへ赴いたことです。ロシアのIT企業や教育・研究機関、またそれらに関係する商談会等のイベント参加を通して、ロシアの技術力やエンジニアのポテンシャルの高さを改めて再認識しました。 25年前の1994年はソ連邦崩壊後の社会混乱による影響で、日露間でのコンピュータビジネスは非常に難しい状況でしたが、いまは日露双方とも新しいビジネスに対する機運が高まっています。

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ロシアのリツェイ(専門学校)への訪問時の写真

しかし、日露間には政治的な問題やビジネス習慣・言葉の違い、情報の少なさ等から、お互いに対する興味・関心の温度差や壁を感じたそうです。そして、そのような状況を打破するために「日露ITビジネス」への取り組みがスタートしました。

2. 日露ITビジネスの課題

日露の間では、領土や平和条約等の問題がありますが、文化交流やビジネスの場などは年々増加しているように感じます。しかしながら、政治的・歴史的な理由から、ロシアへ悪い印象を持っている、若しくは無関心な日本人が大半ではないでしょうか。このようなロシアへの印象が、両国のビジネスの発展の歯止めになっていると思います。 IT業界に焦点を当てると、ロシアには高い技術力やユニークなサービスがあるものの、既に日本にも類似製品・サービスが存在したり、法的・慣習的に日本市場に取り入れることが困難などの理由から、商談が具体化しないことが多々あります。 こういった課題を乗り越えなければ、日露のビジネスはなかなか芽を出さないと思います。

3. ロシアと日本の社会問題

日露ビジネスの壁を超えるため、当社はロシアITの教育や人材といった点に注目をしました。その理由は両国の社会的な課題にあります。 まずは、日本についてです。日本のIT業界には多く難点があると思います。例えば、多重下請構造や、客先常駐、IT教育の遅れなどです。それらが原因で、AIやIoT、データ分析等の先端技術を使いこなせる「高度IT人材」の不足という大きな問題が発生しています。対するロシアは、国主導で「デジタル経済」を推進しています。国立の研究機関とIT企業、大学等の研究機関が相互に連携するエコシステムが出来上がっており、高い技術力を擁するIT人材の育成を行える環境が整っています。しかし、そのような背景にはエネルギーに依存した不安定な経済体制から脱却するという、ロシアが抱える構造的な課題が隠れています。

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ロシアの「デジタル経済」の元、政府によって開発されたテクノパークの1つ。大学や企業の出会いの場にもなっており、ITエコシステムを支える重要な基盤。

4. 日露ITビジネスの展望

両国の状況を照らし合わせた結果、たどり着いたものが「ロシアの高度IT教育の日本での展開」です。元々、ロシアは科学技術分野に秀でていました。冷戦時代はアメリカと宇宙開発で互角に争い、現代では国際プログラミングコンテスト数学オリンピックで何度も首位獲得をしています。そのような下地がロシアの科学技術教育の環境にはありましたが、IT企業・研究機関等での実務経験といった実践的な能力を得られる機会が、前述したエコシステムによって著しく増加しました。このような「ロシア型教育カリキュラム」を日本とロシア、双方の大学と共同で開発し、日本のIT業界が抱える課題を解決していきたいと思います。

日本人への教育だけでなく、ロシアのエコシステムで教育を受けたロシアIT人材への教育事業も計画中です。日本市場で働く際、即戦力となれるように、日本語や日本の労働慣行・法律等の教育を実施していきたいと思います。 さらに、当社の独自ネットワークを活かした、オフショア開発やR&D受託開発の展開等も計画中です。

5. まとめ

25年ぶりのロシア再訪がきっかけで始まった「日露ITビジネス」ですが、その最終的なゴールは「日本のロシアに対する態度を変革すること」です。IT教育やIT人材、オフショア開発等を窓口として、日本がロシアについて知ってもらうことで、豊かな文化交流や持続的な相互のビジネス展開が可能になると思います。 当社の活動を通して、一人でも多く「ロシア」について知ってもらえれば幸いです。