【ロシアIT】ロシアのIT教育プログラムを受けてみた

皆さん、こんにちは。テクノソリューションです。

日本では小学校で2020年からプログラミング教育が始まりました。 また、学生・社会人向けのプログラミング塾なども増えており、日本でIT教育が盛り上がっていると思います。

ロシアでもIT教育の人気がとても高いです。 中でも、一流IT企業が提供する教育プログラムは世界中から多くの受講者が参加しています。その中でも、Mail.ruグループが提供するサービスである「GeekBrains」のオンラインクラスとウェビナールをそれぞれ1つずつ受講してみました。

Mail.ru GroupとGeekBrainsとは?

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Mail.ru
(引用:https://ru.wikipedia.org/wiki/Mail.ru

Mail.ru Groupは「Yandex(Яндекс)」などと並ぶ、ロシアの一大IT企業の1つです。 フリーメールサービスの「mail.ru」や、ロシア版FBである「Vkontakte(Вконтакте)」、学生ユーザーが多いSNSOdnoklassniki(Одноклассники)」、さらには、検索エンジンなども提供しています。 CEOはBoris Dobrodeev(Борис Добродеев)です。モスクワ国立大学(Московский государственный университет)の出身で元々は、VkontakteのCEOでした。1984年生まれの36歳にして、一流企業のCEOであり、如何に優秀な人であるかがわかると思います。

GeekBrainsは、Mail.ru Groupが提供しているプログラミング学習サービスです。 AI、Webアプリ、スマートフォンなどといったサービス開発に必要なプログラミング言語、知識、ツール、手法などを学ぶことができます。クラスを受講している企業も多く、ロシア最大の銀行「ズベルバンク(Сбербанк)」や、通信会社「MTS(МТС)」、デリバリーサービスの「Delivery Club」などの社員も勉強をしています。 さらに、授業を全て終了すると証明書が発行されるため、就職の際のアピールポイントとしても利用することができるそうです。

GeekBrainsのプログラム

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GeekBrains
(引用:https://vc.ru/design/61552-obrazovatelnaya-platforma-geekbrains-obnovila-logotip-vpervye-za-pyat-let

GeekBrainsは様々なプログラム・クラスを提供しています。 具体的には、Python, Java, JavaScript, C#といったプログラミング言語学習クラスや、アルゴリズムとデータ構造、データベース、web開発フレームワークのクラスなどもあります。また、プログラミング以外にも、マーケティング、デザイン、マネジメント、アナリティクス、ゲーム、経営などといった分野の授業も提供しています。1クラスあたり、約20,000円~30,000円程で受講することが可能です。中には無料で受講できるものもあるので、気軽に始められますね。

GeekBrainsのプログラムの特徴として、「学部(Факультет)」というものがあります。 1つのテーマについて、2年程かけて勉強していくようなコースになっています。 この学部は、「Webアプリ開発」、「AI」、「Android/iOS開発」、「DevOps」、「開発リーディング」、「Webマーケティング」、「人材」等、技術的なものからビジネス・経営よりのものまで、種類がとても豊富です。学部の授業の中には、GPUで有名なNVIDIAやロシアの大手通信キャリアのMegafon (Мегафон)などと提携した授業があるのも、学部の特徴の1つです。 学部の授業料は1か月約10,000円~15,000円となっています。また、後払い制度等もあるので、学生などでも比較的受講しやすい環境が整っていると思います。

GeekBrainsは学部でもクラスでも、講師・メンターにすぐ質問・相談ができます。躓いたときにし、すぐ助けてもらえるため、挫折せずに続けられるのではないでしょうか。

GeekBrainsの授業を受けてみた!

オンラインクラス

無料で受講できる「Java 高速スタート(Java. Быстрый старт)」に取り組んでみました。 形式は、動画を見てプログラミングの勉強をし、最後に出される課題を自分で解いてみるというものです。ちなみに、課題の答えは次の授業の始まりで解説されます。また、授業や課題で疑問点がある場合は、講師に質問をすることも可能です。 授業数は全部で9あり、すべて受講し終わると証明書が発行されます。

それぞれの授業の内容は、

  1. イントロダクション
  2. 変数、データ型、if分
  3. ループ文、「数字予測ゲーム」の作成①
  4. メソッド
  5. 「数字予測ゲーム」の作成②
  6. オブジェクト指向、「雫を捕まえろゲーム」の作成①
  7. オブジェクト指向、「雫を捕まえろゲーム」の作成②
  8. オブジェクト指向、「雫を捕まえろゲーム」の作成③
  9. まとめ

となっています。

JavaIDEのインストールは自分で行う必要があります。また、動画形式の授業であり、毎回1つのプログラムを作成しており、関数や構文を1つずつ確認していくようなことはありません。そのため、まったくの初心者が挫折をせずに続けるというのは少し難しいような気がしました。

しかし、無料のコースですが、充実した授業内容であり、質問機能もあり、なおかつ、簡単なゲームを作れるので、「開発」のイメージが付きやすそうだと感じました。 また、GeekBrainsのJavaクラスでは、最後にwindowsのネイティブアプリを開発します。日本のプログラミング塾では、最終的な成果物がWebアプリであることが多いと思うので、珍しい印象を受けました。

ウェビナール

スマートフォンアプリ開発でどのように稼ぐのか?どのように自分でスタートアップを立ち上げるのか?(Как зарабатывать на разработке мобильных приложений? Как запустить свой стартап?)」というウェビナールを視聴しました。ちなみに、GeekBrainsのウェビナールは、全て無料で視聴できます。

約1時間のウェビナールで、コメント欄を利用していつでも質問ができるような形式でした。内容は、「スマホアプリ開発に必要な技術」「ユーザ分析」「マーケティング」「広告」など、技術というよりかはビジネス面の話が多かったです。

ウェビナールを視聴していて感じたのは、若い参加者が多いということです。大学生参加者がいるのはもちろん、10代前半の参加者もちらほらいました。特に、12歳の参加者は積極的に質問をしており、意思・意欲の高さを実感しました。

また、GeekBrainsのウェビナール全体に言えることですが、「起業」を意識したようなものが多い印象があります。少なくないロシア人エンジニア、IT従事者、学生が、テクノロジーを活用した起業に興味を持っているようで、その起業家精神に驚きました。

まとめ

GeekBrainsについてリサーチや、授業を通して感じたことは、「多くのロシア人がITを用いたビジネスに興味がある」ということです。

開講しているクラスや学部には技術的なものだけでなく、ビジネスを進める上で重要な事柄について扱うものも多いです。また、ウェビナールでも起業やサービスの展開といった内容が多く、それらのニーズが高いのだと感じました。

このような「起業家精神」が高いことが、ロシアで多くのイノベーションが起きている1つの要因なのではないでしょうか。

参考資料