【ロシアIT】最新技術を支える?ロシアを代表する数学者とその功績
皆さん、こんにちは。テクノソリューションです。
突然ですが、「数学」はお好きですか?
IT技術の発展によって、世界的な技術革新が進み、便利なモノが無数に発明されており、その多くが普段の生活で欠かせないものになりました。「スマホ」もその典型的な例ですね。 このような先端技術を支えるも一つが「数学」です。しかし、数学が苦手、嫌いという人は多いのではないでしょうか?
今回の記事では、そんな数学にスポットライトを当て、ロシアを代表する数学者を紹介していこうと思います。
アンドレイ・マルコフ
まずはじめに、アンドレイ・マルコフ (Андрей Марков) です。確率論や解析学といった分野で活躍しました。出身大学は、サンクトペテルブルク国立大学 (Санкт-Петербург Государственный Университет) で、卒業後も同校で教授として研究を続けました。
マルコフの功績で1番有名なものは「マルコフ連鎖」です。 マルコフ連鎖を簡単に説明すると、「未来の状態が現在の状態のみによって決まり、それ以前の状態は関係ない」ようなモデルのことです。以下のような式で定義されます。
このマルコフ連鎖は、様々な分野で利用されています。 最近では、自動文章作成や強化学習などのAI分野で用いられることも多いです。
パフヌティ・チェビシェフ
次に紹介するのが、パフヌティ・チェビシェフ (Пафнутий Чебышев) です。確率論や統計学、数論といった分野について積極的に研究をしていました。 チェビシェフは、モスクワ国立大学 (Московский Государственный Университет) の出身です。卒業後は、サンクトペテルブルク国立大学で教授として勤めていました。
チェビシェフの残した功績のうち、最も有名なものが「チェビシェフの不等式」です。統計学で学んだ人も多いのではないでしょうか。 としたとき、いかなる確率変数に対しても
が成り立ち、これを「チェビシェフの不等式」といいます。 この式によって、具体的な確率分布の式がわかってなくても、分散と期待値から確率が不等式で表されることができることができます。
他にもチェビシェフは多くの功績を残しており、様々な技術の下地となっています。 機械学習などの先端技術でも、チェビシェフの名を冠した数式を見ることは多いと思います。興味を持った方は、他にどんな功績を残しているのか調べてみてはいかがですか?
アンドレイ・コルモゴロフ
最後に、アンドレイ・コルモゴロフ (Андрей Колмогоров) について紹介します。コルモゴロフは、確率論やトポロジーといった分野について熱心に研究をしていました。 モスクワ国立大学出身であり、卒業後も同校で研究をしていました。
コルモゴロフが確率論に与えた影響は大きく、現代統計の礎となる「公理的確率論」を立脚させました。コルモゴロフ以前の統計学は、どの単一事象の起こる確率は、「同程度に確からしい (equaly likely)」といった定義(古典統計学)に基づいたものです。しかし、この考えを適用できる範囲が狭く、統計学の定義として不完全であります。 そこで、確率とは、
- 全ての事象に対して
- 互いに排反な事象 に対して、
の3つ公理が成り立つもの、としたものが公理的確率論です。これによって、より多くの問題に確率が適用できることができるようになりました。
また、コルモゴロフは「アルゴリズム情報理論」の父とも言われています。データ列の複雑性を測る「コルモゴロフ複雑性」などの研究結果をのこしています。 現在の情報科学を支える理論の1つをコルモゴロフが創設しているのです。
まとめ
ロシアには歴史に名を残す数学者が多く存在します。 そして、そのような先人の知恵が重なって、現代の科学技術が構成されていることも分かったのではないでしょうか。
最近はコンピュータが高度に発達し、便利なフレームワークが増えたため、数学的な背景を考えなくとも、さまざまなシステムを簡単なツールだけで作れるようになりました。 しかしながら、ツールに頼るシステム開発では、独自のアルゴリズムを実装したり、具体的なソリューションを創造することが苦手になってしまうというデメリットもあると思います。とくに文系出身のエンジニアには「ツールを操作しているだけ」という人が多く、真っ白なエディタ上で、最初からプログラム(ソースコード)を記述していくスキルを持っている人は少ないと感じています。
日頃扱っている技術の、数学的理論について学ぶことも大切なのかもしれませんね。